- 以前から大阪薬科大学の草野源次郎教授によって、300種類以上の野草研究がされていました。その中で、草津あおばな(オオボウシバナ)に糖質分解酵素「α-グルコシターゼ」を阻害する野草成分であるDNJ(デオキシノジリマイシン)とDMDP(ジヒドロキシメチルジヒドロキシビロジン)が含まれている事を突き止めました。
この2つの成分は、小腸における糖質の吸収をおだやかにし、特に食後に見られる血糖値上昇を穏やかにする効果が分かっています。
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- 食べ物を食べると、糖質・糖分は小腸で吸収・分解され、一部は肝臓に運ばれます。この時、小腸の粘膜にあるα-グルコシダーゼという酵素が二糖体を分解・吸収をし、糖分を血液に送り出すことで、血糖値が上昇します。そのα-グルコシダーゼの作用を妨害する役目をするのが、「草津あおばな」に含まれるデオキシノジリマイシン(以下、DNJ)、ジヒドロキシメチルジヒドロキシピロリジン(以下、DMDP)です。この成分α-グルコシダーゼに結合する性質があり、結合するとα-グルコシダーゼの作用を阻害してくれます。
食前または食中に「草津あおばな」をとると、血糖値の急激な上昇は抑えられ、インスリンも正常に作用して、糖尿病は予防されるわけです。その効果は、動物実験でも人での臨床試験でもすでに実証されています。
食後上昇する血糖値
- 食事の後には、糖質の消化・分解に伴って血液中の血糖値が上昇します。そのあと緩やかに下降して落ち着き、次の食事の時にまた上昇をするということを繰り返しています。消化が始まるとタイミングよくインスリンが分泌され、インスリンの働きで、分解されたブドウ糖が血液中から細胞へ運ばれます。食後の血糖値が急激に上昇し、なかなかもとに戻りにくい状態が続くと、平均的に血糖値が高くなり、やがて「高血糖」の状態となります。
血液中のブドウ糖濃度のことで、血液1デシリットルあたりのブドウ糖の量をミリグラムであらわします。目安として健康な人の空腹時の血糖値は110(mg/dl)以下といわれています。
ブドウ糖(血糖)を細胞内に取り込ませて、エネルギー源として、活用させるホルモン。このインスリンが不足すると、ブドウ糖が活用されないため、血糖値が上がります。この状態が糖尿病と言われています。
現代は飽食の時代、たくさんの食べ物があふれています。
最近の研究では、肥満(特に内臓のまわりに付着した脂肪)がさまざまな生活習慣病を引き起こしやすいことがわかってきました。そのキーワードとなるのが「メタボリックシンドローム」です。ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満が疑われます。健康維持のために食物の内容を吟味するのも大切ですが、毎日の食生活で、食材を精査吟味していくのは現実的にむずかしいものがあります。そこで効果的に余分な糖分の吸収をカットしてくれるような天然の食材を活用することが望まれています。食材についての研究が年々進み、天然の食材の成分や効果が明らかになっている現代。安全、安心で効果的な食材を食生活に取り入れることが出来る時代でもあります
研究者
- 1935年生まれ。 東北大学医学部を卒業し、1968年に薬学博士になる。1990年には、大阪薬科大学教授になり、退官後、今までの研究と草津市に貢献したことから、2005年草津市初の名誉市民に選ばれる。
- 1967年生まれ。
大阪薬科大学を卒業し、1994年に大阪薬科大学助手、2006年講師に就任、1999年に薬学博士になる。
糖尿病予防の研究のため、多くの植物について研究を重ねる。